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中村文則「何もかも憂鬱な夜に」

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     私は知らなかったのですが、

   ピースの又吉さんのオススメ本だそうです。


   タイトルに惹かれて借りてきました。
   
 


   物語は主人公である”僕”の

   子供の頃の出来事と、

   それとは別に”僕”が作り出したであろう

   幼いころの記憶に触れて始まります。


   捨て子であった”僕”は施設で育ち、

   大人になった僕は拘置所の刑務官として9年勤めている。


   拘置所に収容されている18歳の少年。

   夫婦二人を殺し、すでに死刑判決を受けている。とりあえず控訴の意志はない。


   かつて拘置所に収容されていた50代の男性。

   彼の仮出所を唯一止めることが出来る証拠を握っていた”僕”。

   けれど”僕”は証拠を握り潰し彼は出所する。

   そして仮出所中に犯罪を犯し、再逮捕。


   拘置所以外での”僕”。

   13回忌を迎える真下という自殺した友人がいた。

   彼が”僕”に残したものは一冊の大学ノート。

   そのノートの最初はこんな風に綴られている。

   「何かになりたい。何かになれば、自分は生きていける。

   そうすれば、自分は自分として、そういう自信の中で、

   自分を保って生きていける。まだ、今の自分は、仮の姿だ」 

   その後は気分が滅入るような独白が続く。

   まるで”僕”への復讐なのか、コンプレックスなのか?


   もう一人、”僕”にとって重要な人物。

   それは施設で世話になっていた”あの人”

   ”僕”にとっては唯一の救いだったのかもしれません。


   人はどうして誰かを巻き込もうとするのかなぁと思わずにはいられませんでした。

   ”僕”を取り巻く人たちは、

   「お前は俺と一緒で、危ない傾向にあるよ。」とか

   「あなたは、どちらかと言えば、こっち側の人間です」とか

   そんな言葉を”僕”に投げかけます。

   けれど、それを口にした時点でそれは逆に否定してるような気もします。


   どうしてそんなことを口にするのか?

   理解者を求める気持ちのような気もするし、

   単に卑しい心がそれを口にしてるようにも思えます。  
   

   そしてこの本では死刑についても言及していますが、

   死刑を扱うにしてはこの本は短すぎるのでは?と思いました。

   
   主人公である”僕”

   もしかするとそれは、読み手全員がそうなのかもしれません。

   青臭い正義感、何もかもぶち壊したい衝動、傷つく心。

   どうなんだろう?

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コメント

こんにちは
いつも ありがとうです。
タイトルはいいですね。
人は、憂鬱になります。自分もhappy01
でも、長生きしてるので、強いかもしれません。
泣き虫な面もあるけど。(#^.^#)
読んでみます。幸せのキセキもねnote

拘置所の様な限定された空間こそ中村さんの才能。

こんな特徴的で濃厚な作品を書ける中村さん、すごい。
その能力の源泉はどこにあるのか、中村さんを取り上げている
サイトを見つけましたが、特殊な方みたいですね・・・。
http://www.birthday-energy.co.jp/
チョットおもしろい視点だし、新しい世界観の中村さん作品も、
正直読んでみたい。

「何もかも憂鬱な夜に」と言われても、すべてが憂鬱ってのは
かなり苦しいなぁ。

クリスタさん 

コメントありがとうございます。

>その能力の源泉はどこにあるのか、中村さんを取り上げている
サイトを見つけましたが、特殊な方みたいですね・・・。
http://www.birthday-energy.co.jp/

確かにちょっと変わっている方みたいですね(^-^;

>「何もかも憂鬱な夜に」と言われても、すべてが憂鬱ってのは
かなり苦しいなぁ。

そうですね、そんな夜は嫌ですね。
けれど、この本を最後まで読んだ限りでは、”僕”は少しずつでもその夜からは抜け出せそうでしたね。憂鬱であり続けるというのも実は難しいのではないかと私は思ったりもするのです。

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