伊坂幸太郎「夜の国のクーパー」
意思を持つ登場人物はというと人間と猫と鼠
プラス、ゲストとでも呼べばいいのかな?
全くの別世界・何故か仙台からやってくる妻に浮気を
された男。予想GUYです
て訳で、とあるところに小さな国があるのだけれど、
その国は敗戦国
それでもって鉄国という大きな国から支配者がやってきます。
今まではその小さな国は、冠人という国民の信頼のヒジョーーーに厚い王が治めてきたのだけれど、
小さな国を管理するという名目で先発隊としてやってきた鉄国の兵士の兵長に、
皆の前で射殺されてしまう
初めて見る銃という武器。不安に襲われる国民たち。この先どうなるのか
そしてこの小さな国にはクーパーの兵士と呼ばれる人たちがいました。
クーパーというのは杉の樹の化け物のようなもので、蛹が孵って動きだし、
凶暴な動く杉の樹になるという設定。
クーパーの兵士とはそのクーパーと戦うために毎年選抜された男たちのことを指すのです。
そして、もう一つ語られていることが…
クーパーを倒す時にクーパーから出る水を浴びると透明になってしまうというオカルト。
ちなみにクーパーの兵士は誰一人として無事に村に帰ってきたことはありません。
たった一人を除いては。もちろん透明ではありません。
ただ深手を負っていたのですぐに亡くなったそうです。
敗戦国の国民は、透明になった兵士がいることを信じ僅かな希望を抱きます。
それは国が窮地に立たされた時には必ず帰ってくるという言い伝えのようなものがあったから。
隔離されたような小さな国では国王の言葉がすべてだったのでしょう。
疑うことなく表面だけをただただ信じ、見続けていたのです。
意思を持つ登場人物として猫と鼠と最初に書きましたが、
この両者の間でも話し合いがなされていました
鼠が猫に提案をしては譲り、提案をしては譲り、といったような政治ですね。
両者それぞれ言い分があるのは人間と同じ 落としどころはあるのでしょうか?
たとえ今いる世界がちっぽけで、噓が上手く隠されているような場所だとしても、
中にいては何も見えないし、壊されない限りは幸せなのかもしれないと思ったりもする。
奇跡のような出来事はやっぱり奇跡でしかなく、
現実的に考えるとその奇跡に期待するのはやっぱり現実的ではない。
守りたいものがあって帰りたい場所がある、
そうはっきりと言える人は今の世の中どれくらいいるのでしょう?
「平和ボケ」なんて言ったりしますが、
他にこんな素敵な言葉はないのかもしれない、なんて思えてきたりもするのです。
全く関係ないですが、伊坂さんは”いい人”と呼ばれる人に警戒心が強いのでしょうか?
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